会社を設立する際、誰もが耳にする「資本金」。単なる数字だと思っていませんか?

実は、資本金は会社の事業活動の元手であると同時に、会社の信用度を測る重要な指標です。この記事では、資本金の基本的な役割から、会社設立時に知っておくべきルールまで、わかりやすく解説します。

資本金の2つの役割

資本金には、主に2つの重要な役割があります。

  1. 事業を始めるための「元手」 資本金は、会社を設立するための登記費用やオフィスの賃料、設備投資、従業員の給与など、事業をスタートさせるための初期費用や、事業が軌道に乗るまでの運転資金となります。出資者や株主から集めた資金なので、銀行からの借入金と違い、返済の義務がありません。安定した経営基盤を築くための、いわば会社の「体力」そのものなのです。
  2. 会社の「信用度」を示す指標 会社の資本金の額は、取引先や金融機関、そして求職者にとって、その会社がどれだけ安定しているかを判断する大きな材料となります。資本金が多いほど、財務基盤がしっかりしているとみなされ、社会的信用度が高くなる傾向にあります。特に、新たな取引を始める際や、金融機関から融資を受ける際に、資本金の額が会社の信頼性を裏付ける一つの証となります。

資本金に関する知っておきたい3つのルール

資本金を決定する際には、いくつかの重要なルールがあります。

  1. 最低資本金制度の廃止 かつては株式会社を設立するのに1,000万円以上の資本金が必要でしたが、現在は資本金1円からでも会社を設立できます。この制度改正により、起業のハードルは大きく下がりました。
  2. 資本金の額が税金に影響 資本金の額は、会社の税金に大きく影響します。特に、資本金が1,000万円未満であれば、設立から最大2年間、消費税の納税が免除されるというメリットがあります。また、法人住民税の均等割額や法人税の軽減税率も、資本金の額によって変わるため、慎重に検討する必要があります。
  3. 現物出資と許認可事業 資本金は現金だけでなく、車やパソコンなどの現物でも出資できます。ただし、高額な現物出資の場合は、裁判所が選任する検査役の調査が必要です。また、建設業や人材派遣業など、特定の事業を行うには、許認可の要件として一定額以上の資本金が定められている場合があるため、事前に確認しておきましょう。

資本金は、会社の未来を左右する大切な「元手」です。事業内容や今後の展望を考慮し、会社の体力と信用度を保てる適切な金額を決定することが、成功への第一歩と言えるでしょう。

投稿者プロフィール

松謙志郎
松謙志郎
アドバイザー
神戸学院大学卒業後、大手不動産会社で東京勤務、不動産仲介業務にあたる。
その後、実家の不動産会社で勤務した後に独立、不動産仲介業務を行う。
宅地建物取引士 / 管理業務主任者 / 行政書士