STEP 0:お問い合わせ

  • お客様: M&Aを検討している個人または企業です。売り手/買い手と呼ばれます。
  • 不動産M&Aアドバイザー(弊社):通常のM&Aアドバイザーと異なり、不動産と金融の専門知識と経験を持ち、お客様の不動産M&Aをサポートする専門家です。

STEP 1: 打ち合わせの調整

担当者との連絡・日程調整が主な内容となります。


STEP 2: 打ち合わせ

  • ヒアリング: お客様のご要望やM&Aの目的、対象不動産(会社)に関する情報を詳しくお伺いします。

秘密保持契約の締結

  • 秘密保持契約(NDA: Non-Disclosure Agreement / CA: Confidentiality Agreement):
    M&Aの交渉過程で開示される企業秘密や機密情報が外部に漏洩したり、目的外に使用されたりすることを禁止するための契約です。この契約を締結することで、詳細な情報交換が可能になります。

資料のご準備

  • 不動産資料: 対象不動産に関する詳細な情報(賃貸一覧表、決算書、試算表など)で、不動産M&Aの検討やデューデリジェンスに不可欠な資料です。
    • 賃貸一覧表: 対象不動産の賃貸状況(入居者、賃料、契約期間など)をまとめた表です。
    • 決算書3期: 過去3年分の財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)。会社の経営状況を把握するために使われます。
    • 直近試算表: 最新の財務状況を示す書類です。

STEP 3: 概要説明

打ち合わせ内容を基に、お客様の要件に基づいた提案が行われます。
具体的には、【不動産M&A】と【不動産を売却して法人の清算】を行う場合に、
【最終手残り金額】にどれくらいの差が生じるか、また、その【リスク】の比較などを行います。


STEP 4: M&Aアドバイザリー契約

不動産M&Aをご選択いただく場合には、アドバイザリー契約をご締結いただきます。

  • M&Aアドバイザリー契約: お客様がM&Aアドバイザー(貴社)にM&Aに関する助言やサポートを正式に依頼する契約です。
    この契約により、アドバイザーは対象会社の詳細な情報開示を受け、具体的なM&A活動を開始します。
  • 詳細情報開示: 会社の定款、株主名簿、財務内容、営業内容、人事労務内容、契約関連、不動産、有価証券など、M&Aの検討に必要なあらゆる情報が買い手候補に開示される準備がなされます。

STEP 5: 売却開始

  • ノンネームシート: 対象会社の社名を伏せた状態で、最低限の情報を記載した企業概要書です。これにより、特定されることなく幅広い買い手候補に打診できます。具体的な候補者が現れるまではノンネームシートで買い手候補を探します。
  • インフォメーションパック(情報開示資料): ノンネームシートで興味を示した買い手候補に対し、秘密保持契約締結後に開示される、企業のより詳しい情報が記載された資料です。
  • マッチング探し: ノンネームシートを基に、M&Aの条件に合う買い手候補を探す活動です。
  • 買主(検討先): M&Aの対象となる会社や事業の買収を検討している企業や個人です。
  • ネームクリア: 買い手候補が対象会社の詳細情報(社名など)を知ることを許諾するプロセス。通常、インフォメーションパックの開示前に行われますです。

STEP 6: トップ会談

  • トップ会談(初回面談): 売り手(経営者)と買い手(検討先)の経営陣が直接顔を合わせ、互いのM&Aに対する意向、経営方針、ビジョンなどを確認し合う場です。これにより、M&Aの実現可能性や相性を測ります。

STEP 7: 意向表明書の提出

  • 意向表明書(LOI: Letter of Intent): 買い手側が売り手に対し、M&Aの買収価格、スキーム、スケジュール、主な前提条件などを記載し、購入の意向を表明する書面です。
    一般的に法的拘束力はないと記載されることが多いですが、今後の交渉の基礎となります。

STEP 8: 基本合意書の締結

  • 基本合意書: 最終契約に至る前に、売り手と買い手の間で合意した基本的な条件を書面化したものです。
    意向表明書よりも具体的な内容を含むことが多く、優先交渉権や独占交渉権など、一部に法的拘束力を持つ条項が含まれることもあります。
    ただし、最終契約締結前に白紙撤回される可能性もあります。
  • 優先交渉権: 特定の期間、他の買い手候補との交渉を停止し、特定の買い手候補との交渉を優先して進める権利です。
  • 独占交渉権: 特定の期間、特定の買い手候補以外とは交渉を行わないことを約束する権利です。

STEP 9: デューデリジェンスの実施

  • デューデリジェンス(DD: Due Diligence): 買い手が対象会社や不動産の価値、潜在的なリスクを多角的に評価するために、財務、法務、営業、人事労務、税務、不動産、システムなど、あらゆる側面から詳細な調査を行うプロセスです。
    基本合意書締結前にデューデリジェンスを実施する場合もございます。
    • 財務デューデリジェンス: 会社の収益性、コスト構造、キャッシュフロー、資産・負債などを詳細に分析します。
    • 法務デューデリジェンス: 契約内容、訴訟リスク、許認可、知的財産権などを調査します。
    • 営業デューデリジェンス: 事業の市場性、競争力、顧客基盤、収益性などを評価します。
    • 人事労務デューデリジェンス: 従業員の雇用契約、労務問題、退職金、福利厚生などを調査します。
    • 税務デューデリジェンス: 過去の納税状況、税務リスク、税務上の優遇措置などを確認します。
    • 不動産デューデリジェンス: 対象不動産の権利関係、法的制限、環境問題、物理的状態、賃貸借契約の詳細などの重要事項を確認します。
      ※通常の不動産売買と同様、不動産の重要事項説明書を交付の上、ご説明いたします。

STEP 10: 最終条件交渉

  • 最終条件交渉: デューデリジェンスの結果を踏まえ、買収価格や契約条件、表明保証、コベナンツなど、M&Aの最終的な合意内容について行う交渉です。
  • 株式譲渡契約書: M&Aの最終的な合意内容(買収価格、支払条件、表明保証、コベナンツなど)を詳細に定めた、法的拘束力のある契約書です。
    株式譲渡スキームでM&Aを行う場合に締結されます。
  • 譲渡承認請求: 株式に譲渡制限がある場合、株主が株式を譲渡する際に、会社の取締役会や株主総会の承認を得る手続きです。

STEP 11: 決済

  • 決済: M&A取引の最終的な完了プロセス。株式の引渡し、株式譲渡代金および清算金の支払いが行われます。
  • 個人保証入れ替え: 旧代表者の個人保証(会社債務に対する連帯保証など)を解除し、新代表者の個人保証に切り替える手続きです。
  • 株主名簿の書き換え: 株式の譲渡に伴い、会社の株主名簿を更新する作業です。
  • 引き渡し書の交付: M&Aに伴う各種物品(会社実印、印鑑、通帳、カード、小口現金など)の引き渡しを証明する書類です。

STEP 12: アフターフォロー(PMIの実行)

アフターフォロー: M&A完了後も、買収した不動産事業や資産がスムーズに運営され、当初のM&A目的が達成されるよう、M&Aアドバイザーが継続的にサポートを行うことです。
特に不動産M&Aでは、単に物件の所有権移転で終わらず、以下のようなサポートが重要となります。

  • 事業シナジーの最大化支援: 買収した不動産事業と既存事業との連携による相乗効果の創出支援。
  • 不動産管理体制の移行支援: 買収した物件の賃貸管理や修繕管理など、管理体制の引き継ぎや新たな管理会社の選定・連携サポート。
  • 入居者との関係構築支援: 既存の賃貸契約に関する情報共有や、必要に応じて入居者への説明など。
  • 税務・法務に関する相談: M&A後の税務処理(固定資産税、法人税など)や、不動産に関連する法務上の疑問点への継続的なアドバイス。
  • 事業計画の進捗確認: 買収後の不動産ポートフォリオや収益改善計画の進捗状況の確認、必要に応じた助言。
  • 金融機関との連携支援: 必要に応じて、買収後の資金繰りや新たな融資に関する金融機関との橋渡し。

投稿者プロフィール

松謙志郎
松謙志郎
アドバイザー
神戸学院大学卒業後、大手不動産会社で東京勤務、不動産仲介業務にあたる。
その後、実家の不動産会社で勤務した後に独立、不動産仲介業務を行う。
宅地建物取引士 / 管理業務主任者 / 行政書士