先日発表された基準地価(2025年)のニュースで、日本中の不動産関係者が驚きの声を上げました。全国の地価上昇率トップに輝いたのは、なんと北海道の特定の地域。なぜ今、北の大地の不動産にこれほどの熱い視線が注がれているのでしょうか?

この地価高騰は、単なる一時的なブームではありません。その背景には、日本の不動産市場のトレンドを象徴する、いくつかの重要な要因が隠されています。

1. 外国人富裕層が求める「日本の別荘地」

コラムの冒頭で触れた北海道の地価上昇は、外国人富裕層による別荘需要がその大きな牽引役となっています。特に、ニセコや富良野といった世界的に有名なスキーリゾート地では、海外の投資家が高級コンドミニアムや別荘の取得に動いています。

「なぜ日本の別荘地なのか?」という疑問に答えはシンプルです。円安の影響で、海外の投資家にとって日本の不動産は相対的に非常に安価で魅力的です。さらに、日本の質の高いサービス、治安の良さ、そして世界でも稀な「パウダースノー」の雪質など、リゾート地としての魅力が世界的に再評価されています。

2. 観光需要の回復と開発ブーム

新型コロナウイルスの影響で一時的に冷え込んだインバウンド需要が、今、劇的に回復しています。北海道では、新千歳空港の拡張計画や、リゾート地でのホテルや商業施設の再開発プロジェクトが活発化しており、これらが地価上昇をさらに加速させています。

単なる観光客の増加だけでなく、将来的なインフラ整備や都市機能の向上が期待されることで、不動産の価値が長期的に高まるという見通しが、国内外の投資を呼び込んでいるのです。

3. ライフスタイルの変化が生む新たな需要

リモートワークの普及や「二拠点生活」への関心の高まりも、地方の不動産市場に新しい風を吹き込んでいます。都市部の喧騒から離れ、自然豊かな場所で生活したいと考える人々にとって、北海道は理想的な選択肢の一つです。

都心に通勤する必要がなくなったことで、住む場所の選択肢が広がり、これまで見過ごされがちだった地方の不動産が、新しい価値を持つようになりました。


まとめ

北海道の地価高騰は、円安、インバウンド需要、そして私たちのライフスタイルの変化という複数の要因が複合的に作用した結果です。これは、特定の地域だけの現象ではなく、今後、他の地方都市やリゾート地にも波及する可能性を秘めています。

このトレンドは、不動産投資を考える上で、「どこに、なぜ投資が集まっているのか」という本質的な問いを投げかけています。単なる表面的な情報ではなく、その背景にある「需要の源泉」を読み解くことが、これからの不動産市場で成功するための鍵となるでしょう。

投稿者プロフィール

松謙志郎
松謙志郎
アドバイザー
神戸学院大学卒業後、大手不動産会社で東京勤務、不動産仲介業務にあたる。
その後、実家の不動産会社で勤務した後に独立、不動産仲介業務を行う。
宅地建物取引士 / 管理業務主任者 / 行政書士