投資の成否は「出口」で決まる!法人不動産購入におけるM&A戦略

法人による不動産投資が一般化する中で、多くの経営者様や投資家様が「いかに安定したインカムゲイン(家賃収入)を得るか」に注力されます。もちろん、それは重要です。しかし、真に投資の成否を左右するのは、売却時、すなわち「出口戦略」にほかなりません。

特に、将来的な事業承継や資産の流動化を視野に入れるなら、購入の段階から「不動産M&A」を出口の選択肢として組み込むことが、賢明な戦略となります。

なぜ「不動産M&A」が出口戦略として優れているのか?

不動産を保有する法人を売却する不動産M&A(株式譲渡)という手法は、通常の不動産売却と比較して、売り手・買い手の双方に大きなメリットをもたらします。

  1. 【売り手】手取り額の最大化(節税効果): 通常の不動産売却では、売却益に法人税等が課税され、残った利益を株主が受け取る際にさらに所得税・住民税が課税される「二重課税」が発生します。しかし、M&Aによる株式譲渡であれば、売却益に対して約20%の分離課税で済み、手元に残る資金を大幅に増やすことが期待できます。
  2. 【買い手】取得コストの軽減: 会社ごと購入するため、個別の不動産売買で発生する不動産取得税や登録免許税といった取得関連費用が不要になります。
  3. 【共通】事業・資産の一括承継: 複数の不動産を保有している場合でも、煩雑な手続きなく、法人と資産、そして賃貸管理のノウハウや従業員を一括で引き継ぐことができます。

【購入時が勝負】M&Aを見据えた「財務状況の明瞭化」

将来、スムーズかつ高値でM&Aを成功させるためには、購入検討の段階から「第三者(買い手候補)から見て魅力的な法人であること」を意識する必要があります。

最も重要な要素の一つが、「財務状況の明瞭化」です。

買い手企業はM&Aに際して、必ず【デューデリジェンス(詳細調査)】を実施します。この調査で「簿外債務」「不明瞭な会計処理」が発見されると、売買価格が大幅に引き下げられたり、最悪の場合、交渉自体が白紙に戻ったりするリスクが生じます。

M&Aを見据えた「明瞭化」の具体的なポイント

  • ① 簿外債務の徹底排除と開示: 未払いの残業代、使途不明金、賃貸契約上の未解決な係争リスクなど、賃借対照表(B/S)に載らない潜在的な負債やリスクを、日常の経営から排除し、可能な限り明瞭化しておくことが重要です。
  • ② 収益構造の単純化と説明責任: 不動産の収益と関連のない事業や、個人的な経費を法人に計上しないよう徹底します。賃料や稼働率といった収益の源泉が、第三者にも明確に理解できるように整理しておくことで、評価が上がりやすくなります。
  • ③ 適切な契約管理と法務の整備: 賃貸借契約書や管理委託契約書などが最新の法令に則って適切に整備されているかを確認します。これにより、買い手は法的なリスクを懸念せずにM&Aを進めることができます。

不動産M&Aパートナーズは、購入から出口戦略まで伴走します

出口戦略として不動産M&Aを成功させるためには、不動産の専門知識だけでなく、税務、法務、金融機関との調整など、多岐にわたる専門知識が必要です。

私たち不動産M&Aパートナーズ株式会社は、不動産M&Aに特化し、貴社の不動産購入のタイミングから、将来のM&Aまでを見据えた最適な仕組みをご提案いたします。

今、法人で不動産投資を検討されているのであれば、ぜひ出口戦略としてのM&Aを組み込み、資産価値の最大化を目指しましょう。

投稿者プロフィール

岡本尚徳
岡本尚徳
執行役員 COO
関西大学卒業後、大手不動産仲介会社にて不動産仲介業務を経験、その後一般事業法人の不動産部門にて収益物件の購入、開発、管理等を担当。
また不動産ファンドでのファンド運営にかかわり、ゲームソフト会社の関連不動産会社の代表を経験。自身でも不動産管理会社、不動産仲介会社を経営するなど不動産に関する業務全般に精通。
宅地建物取引士 / 公認不動産コンサルティングマスター / 関西大学不動産会副幹事長