不動産投資をご検討の皆様にとって、金融機関からの融資は成功への大きな一歩です。しかし、「融資が難しい」「実績がないから無理なのでは」といったお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。
特に、新規で法人を立ち上げて不動産投資に乗り出すケースと、既に不動産を保有・運営している法人をM&A(買収)するケースとでは、金融機関が融資を判断する際の評価ポイントが大きく異なります。
新規法人での融資:ゼロからの信用構築
新たに会社を設立して不動産投資を始める場合、金融機関にとって最大の懸念は「事業実績がない」という点です。貸借対照表や損益計算書が真っ白な状態では、その法人が安定した収益を上げ、借入金を計画通りに返済できるのかを判断する材料が不足しています。
このため、金融機関の審査では主に以下の点が重視されます。
- 経営者ご自身の信用力: 法人としての実績がない分、経営者であるお客様個人の属性(年収、勤務先、勤続年数、金融資産、これまでのローン返済履歴など)が非常に重要視されます。
- 対象不動産の収益性・担保価値: 購入予定の不動産がどれくらいの家賃収入を生み出し、経費を差し引いても十分な返済原資を確保できるのか、また、万が一の際の担保価値はどうか、厳しく評価されます。
- 事業計画の具体性・実現可能性: 机上の空論ではない、具体的で実現可能な事業計画を提示できるかが問われます。
実績がない新規法人への融資は、金利が高めに設定されたり、融資期間が短くなったり、あるいは自己資金比率を高く求められるなど、条件が厳しくなる傾向にあります。場合によっては、希望する融資額が満額出ず、投資計画の見直しを余儀なくされる可能性も考えられます。
不動産M&Aでの融資:既存の「実績」を最大限に活用
一方で、不動産M&A(特に株式譲渡による法人買収)は、新規法人とは異なり、融資の受けやすさにおいて大きなアドバンテージがあります。
不動産M&Aの対象となるのは、「過去の実績を持つ既存の法人」です。この法人が過去にどのような賃貸収入を上げ、どのような経費を支払い、どれくらいの利益を出してきたのか、そして既存の借入金を滞りなく返済してきたのかが、過去の決算書(通常は3期分)によって明確に示されます。
金融機関は、この「実績」を極めて高く評価します。安定した収益実績があれば、将来の返済能力についても高い確度で予測できるため、新規法人に融資するよりもリスクが低いと判断されやすくなるのです。
不動産M&Aが融資面で有利に働く具体的なポイントは以下の通りです。
- 安定した収益実績: 過去の家賃収入や収益性がデータとして存在するため、金融機関は返済計画の妥当性を評価しやすくなります。
- 既存融資の引き継ぎの可能性: 買収対象法人に既存の不動産融資がある場合、その融資をそのまま引き継ぐ形で買収を進める選択肢があります。新規でゼロから融資を申し込むよりも、手続きが簡素化され、時間短縮に繋がる可能性があります。(ただし、金融機関の承認や条件見直しは必要です。)
- 法人としての信用力: 既に事業を継続している法人としての信用力があるため、新規法人よりも融資の審査がスムーズに進む傾向にあります。
M&Aの注意点:実績の裏に潜むリスクと、私たちのサポート
もちろん、不動産M&Aが融資面で有利だからといって、全てが容易に進むわけではありません。M&Aには、単なる不動産購入にはない特有のリスクや複雑さも伴います。
- デューデリジェンス(詳細調査)の重要性: 買収対象法人の財務状況、法務リスク、税務上の問題、そして不動産自体の詳細な状況(修繕履歴、契約関係など)を徹底的に調査するデューデリジェンスは不可欠です。簿外債務や隠れたリスクを引き継いでしまうと、後々大きな負担となる可能性があります。
- M&Aプロセス全体の専門性: デューデリジェンス、交渉、クロージングなど、M&Aプロセス全体は非常に専門性が高く、専門家のサポートなしに進めることは困難です。
「不動産M&Aパートナーズ株式会社」が、お客様の成功を力強くサポートします
不動産投資において、金融機関からの融資は成功の鍵を握ります。新規法人を立ち上げる場合は、実績がない分、経営者個人の信用力と事業計画の具体性が問われ、融資条件が厳しくなる傾向があります。
しかし、不動産M&Aで既存の不動産法人を買収する場合、その法人が持つ「過去の安定した実績」が金融機関にとって大きな安心材料となり、融資が通りやすくなる、あるいは有利な条件で融資を受けられる可能性が高まります。
私たち不動産M&Aパートナーズ株式会社は、単に不動産M&Aを仲介するだけでなく、金融機関との連携を密にし、お客様が最適な融資を受けられるよう、実績に基づく確かなアドバイスとサポートを提供いたします。
「実績がないから融資は難しいと諦めている」 「より有利な条件で不動産投資を始めたい」
そうお考えでしたら、ぜひ一度、不動産M&Aの専門家である私たちにご相談ください。お客様の状況やご希望に合わせた最適なM&A戦略と、それに伴う融資戦略をご提案いたします。
投稿者プロフィール

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代表取締役 CEO
滋賀大学卒業後、大手メガバンクを経て地方銀行で支店長、本店営業第一部長、法人業務部長兼地方創生支援室長等を歴任、退職後に不動産保有法人を設立、M&Aによる売却と購入を経験。
神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA)
神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)
専門は中小企業金融 / 日本金融学会会員 / 宅地建物取引士
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